あと1勝すれば優勝という試合は近年幾度となく経験したが、レッズとレッズサポーターがそれを初めて体験した試合が2002年ナビスコ杯決勝だった訳だ。
結果から言えばこの試合は、鹿島に0-1で破れて、レッズは悲願の初タイトル獲得をあと一歩で逃す形になったのだが、この敗戦こそがその後のレッズ黄金期のスタートでもあったように思える。
雪辱に燃えるレッズは翌年、同じナビスコ杯で再び決勝まで勝ち進み、昨年と同じ対戦相手である鹿島相手に勝利し、見事初タイトルを獲得するのだから。
さて初タイトル獲得の話はまた別の機会に書くとして、今回はレッズが初めてファイナリストとなった2002年ナビスコ杯決勝について。
初めてのファイナリスト
10月2日、アウェー万博でガンバを3-2という接戦で破り、初の決勝進出を決めた時は、全国のレッズサポーターは狂喜乱舞したことだろう。平日アウェーだったから自分は自宅ラジオでこれを聴いていたが、決まった瞬間、時間も考えずに仲間に電話をかけまくってしまった。しかも決勝の相手は鹿島。これまで何度も苦汁を飲まされて来た宿敵を、いよいよタイトルのかかった試合で叩くチャンスを得たのであるから、これはもうモチベーションが何重にも上がる。
10月5日、駒場での神戸戦当日が決勝チケット発売日という慌ただしさ。何故プラチナ化確実なチケットを試合日に発売するのか?とチケット発売方法に疑問を持ったものだったが、とにかくこれを手に入れなければ始まらない。仲間と手分けして、仲間の一人は駒場で列を確保しながら携帯で、自分ともう一人はOCMプラザ某店(ここ、けっこうな穴場だったのだが、数年前に無くなってしまった(泣))に並んで、無事にチケットを確保したのだった。
試合日まで、新聞やサッカー誌はレッズ決勝進出に関する記事が賑わし、レッズにとっての初タイトルはもちろん、三菱時代からクラブを一筋に支えて来た福田にもいよいよ初タイトルを、との声も日増しに高まっていた。
当時のレッズはオフト就任1年目。前線にはトゥット、エメルソンという強力外国人を擁し、更に永井、田中達也も控えていた。
FWが過密になる中、オフトは福田にバランサーとしての役割を与え、2列目、3列目のポジションでレギュラーに復帰させ、福田もそれを忠実にこなしてチームに活力を与えて居た。
試合前夜、与野本町の仲間の家に集合して一杯やって一眠りしてから、仲間の車で深夜の首都高をすっ飛ばしていざ国立へ。
国立に着くと、既に長蛇の列!当時のナビスコ決勝では抽選なんて存在していなかったから、みんな徹夜体制で並んでいたのだ。
まあ、それは想定内だったから良いのだが、それ以上に、とにかく寒い!!11月初めにしては、やたらこの日は寒かったのだ!ジャンパーの厚着も、ホープ軒のラーメン喰っても、とにかく寒いものは寒い。一眠りしようとしても寒くて寝られない。極寒の夜に「寒い~!死ぬ~!」「ファイナリストって大変だなぁ!」と訳の分からない言葉を朝まで連発し、寒さ凌ぎに彼方此方徘徊しながら耐える。そしてようやく列が動き出したのは10時過ぎだったか・・・
国立に入場してもゴール裏は大混雑で前に後ろに進めず、「こりゃあ通路だな」なんて覚悟していた矢先に携帯が鳴る。「おーい、席確保したってよ」・・・別働隊が最前列に近い陣地を確保してくれたとの報。
陣地に着いて一呼吸してピッチを見渡せば、「これは・・・」それ以上の言葉が続かなかった。一瞬時が止まったかのように、その風景を見渡してしまっていた。スタンドの壁には一円花輪が飾られていて、普段見馴れない超豪華な風景に、ハッと我に返った時には「これが決勝かぁ、すげぇなぁ!!」と興奮を覚えたものである。
こんな素晴らしい舞台で戦える感動。
「あと1つ、あと1つ勝てばタイトルを手に入れられる・・・!!」
2002年11月4日、快晴。やや冷たい風と昼下がりの強い陽射しの中・・・いよいよ運命のキックオフ!!
と、実はこの試合、俺は断片的にしか覚えていない。
応援に熱が入っていた、と言えば聞こえは良いが、正直決勝という緊張感もあってか、普段以上に我を忘れて、試合に入り込んでしまっていたのだろう。
小笠原のシュートが井原の身体に当たってコースが変わり、不運な失点を期した場面。
突破されようかという時に、福田が必死に相手に食らい付いてなぎ倒して、ファールしてしまった場面。
鹿島の組織的守備に動きが封じられて苦悩するエメルソン。
そして、ついにトゥットが抜け出してキーパーと一対一となった場面。「!!」・・・しかしこれを防がれて、自分も頭を抱えた。もしあの時、これを決めていたら・・・
気付けばロスタイムで、レッズの攻めが切られて、主審が笛を・・・その瞬間俺は叫んでしまった。「ああ~!待って審判!まだ笛を吹かないでくれ~~!!」・・・それ虚しく国立に響く試合終了の笛の音・・・終わってしまった・・・
あっという間の90分は、0-1という結果で、レッズはあと1歩の所で初タイトルを逃してしまったのだった。レッズサポも、そして福田も・・・。
対峙する鹿島ゴール裏から「浦和レッズ」コールが聞こえてきたが・・・。
何だか妙に疲れてしまって、「飲まないの?」との問いかけに「疲れた。今日は帰るわ」と、居酒屋に寄らずに陽がある内に帰宅してしまった。
自分の部屋に入ると記念品とナビスコのお菓子を放っぽり投げてバタンキュー。「ああ、くっそぅ~、せっかく決勝まで行ったのに~~~!!!」頭の中で悔しさが渦巻いていた。この時は、来年雪辱を果たしてやろうなんて事にまで頭は切り換えられておらず、ただただ後悔(何の後悔かよくわからんが)と悔しさで一杯だった。
そしてこの月の末、福田に戦力外通告が下されることになる。
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2002年11月4日/国立競技場
ヤマザキナビスコカップ決勝 鹿島1-0浦和
得点/59分・小笠原(鹿)
観衆:56,054人
おはようございます。
そうですね、あのシーズンはリーグ戦も好調な時期がありました。負け出したのは、そう、福田の「負けないよ!」の次からでしたねぇ(苦笑)
あの時期のナビスコは、レッズにとって大きな成長をもたらしてくれましたね。あの華々しい決勝の舞台、また再び味わいたいです。
新サポの私にとっても、『あの日、あの時』はいつもとても勉強になります。
新聞やニュースでしか、知らなかったことが、体で感じられるようです。
感動が伝わるだけに、その時に、今のような熱サポでなかった自分をくやんでやみません(笑)
これからは、決勝や、優勝のすばらしさ、そしてそこまでの大変さを、自分
新サポの私にとっても、『あの日、あの時』はいつもとても勉強になります。
新聞やニュースでしか、知らなかったことが、体で感じられるようです。
感動が伝わるだけに、その時に、今のような熱サポでなかった自分をくやんでやみません(笑)
これからは、決勝や、優勝のすごさ、そしてそこまでの大変さを、たくさん自分自身でも経験したいなあとおもいました。
入場すると、花輪は並ぶわ、ヘリは飛ぶわ、何やらスポンサーのお土産も手渡され、今までにない雰囲気のスタジアムに、ああ、決勝戦ってこうなってるんだと感心した。
そのときに、はっと気づいたのが、我々は初めてだが、鹿島サポーターはJリーグ開幕の頃から
何回となくこういった場を経験してるんだ、ということ。
決勝戦に出ただけで舞い上がってしまって、決勝進出記念グッズなんかを売り出して、お祭り騒ぎしてるウチとは、キャリアが違うんだ、とショックを感じた。
はっきりいって、そこですでに半分負けてたかも。
翌年の、ナビスコ決勝に望んだ時の気持ちと比べるとよく分かる。
レッズはチームもサポも、あの日、大人になったんですよ。
入場すると、花輪は並ぶわ、ヘリは飛ぶわ、何やらスポンサーのお土産も手渡され、今までにない雰囲気のスタジアムに、ああ、決勝戦ってこうなってるんだと感心した。
そのときに、はっと気づいたのが、我々は初めてだが、鹿島サポーターはJリーグ開幕の頃から
何回となくこういった場を経験してるんだ、ということ。
決勝戦に出ただけで舞い上がってしまって、決勝進出記念グッズなんかを売り出して、お祭り騒ぎしてるウチとは、キャリアが違うんだ、とショックを感じた。
はっきりいって、そこですでに半分負けてたかも。
翌年の、ナビスコ決勝に望んだ時の気持ちと比べるとよく分かる。
レッズはチームもサポも、あの日、大人になったんですよ。
こんばんはです。
ひとつの時代時代があると思いますが、過去の出来事を良き思い出として、次に繋げて行くのも大事ですねぇ。
これから先もレッズというクラブは色々歴史を作って行くでしょうけど、それがまた優勝という形であれば最高ですね。
ロックな耳鼻科さん
こんばんはです。
ですねぇ、あの時は決勝に進出したというだけで舞い上がってしまっていた部分はありますよね。もちろんどんな物事にも初めてがあるので仕方のない部分もありますが、やはり経験というのも大事だなと感じました。
この決勝での敗戦を境にレッズはひとつの事を学び、新たな1歩を踏み出したのだと思うと、この敗戦が貴重な糧になったということでしょうね。
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