いやはや、ウルグアイがここまで勝ち上がってきた強さの秘訣、粘りがあるからなのか。堅守のドイツ相手に2得点の他、最後の最後まで見せ場を作ったウルグアイもさすがだった。
ドイツファンにとってはヒヤヒヤの相手だったけれど、力の差と更にこれまでのドイツの得点力を考えると、3得点という数字は、今回も不思議ではない、むしろ妥当ではあったかも。試合自体はひじょうにスリリングな展開ではあったけれど、そんな3位決定戦を終え、ドイツがなんとかかんとか”最低限”の結果を残した。
結果こそ3位で落ち着いたが、ドイツにとってのワールドカップは、今回も雪辱が果たせぬママの結果に終わってしまった。日韓大会で惜しくも準優勝まで力を復活させ、そして前回自国開催であったドイツ大会は3位、そこをベースに戦ったユーロ08は準優勝・・・世界の大舞台であと1歩のところまで行きながら、最後の最後で毎回勝ち進めないパターンは、今回も同じになってしまった訳だ。
これを単なるジンクス的なものと捉える訳にはいかない。ドイツが世界で足りないもの、それを幾つかあげるならば、先ずは選手の”海外的”な経験不足。ドイツ人選手は、国内でプレーする選手の比率が極めて多い。それを中心に構成されている代表は、国内に居る為に選手を召集し安く、組織的なチームを作るには有利な環境ではあるのだが、反面で”井の中の蛙”的な選手が多いのが否めないからだ。この部分が、国際舞台で勝ちきれない致命的な弱点になっていると考えられる。
その根本原因は、やはり国内リーグのレベルが一定で止まってしまっている点だろう。かつて世界最高峰といわれたブンデスリーガが、今やプレミアリーグやセリエAなどから実力的にも迫力的にも追い抜かれてしまっている。世界屈指の育成力と観客動員数を誇るブンデスリーガだが、世界レベルを考えた場合では、その内実が伴っていない。
ブンデスリーガは、他国リーグに比べて金銭的な部分で極めて厳しい抑制ルールを設けている。借金や累積赤字の限定ラインを低くすることによって、破綻するクラブを無くそうというのが狙いであり、これによってブンデスリーガの多くのクラブが、健全経営で保たれている。しかし逆にこれが足枷となり、多くのクラブが大物選手獲得を躊躇する事態も起こっている。資金力があるバイエルンはひとつ頭が抜きん出ているとしても、それに続くクラブが近年現れていない。こうなると、そこでプレーするドイツ人選手も、競争力や国際的な経験力が養われず、それが一定の所で止まってしまっている可能性があるのだ。
ドイツが本気で世界トップの座を奪い返す為に、もう少し”門と”を開く必要があると思う。それによって選手も、もう1段階成長出来ると思う。
幸い今大会においても、更に高見を目指すべき選手が多く現れた。エジルやノイアーはその象徴で、彼らのような若く更なる成長が見込まれる選手は、もっと海外でドイツ以外の強豪と競争を繰り広げて国際力を養う必要がある。
ドイツサッカーの環境は、近年良い意味で違うものに変わりつつある。帰化選手や移民選手が増え、組織一辺倒だった時代のサッカーの質も、そこに多種多様な戦術と戦略を織り交ぜて確実に攻撃も視野に入れたサッカーに、徐々に変わりつつある。
ただ個々の選手レベルにおけるドイツ人選手は、まだまだ海外では成功し難いと揶揄されているが、それを見返す意味でも、ドイツサッカー界が自らの殻を破り、本当の意味での”世界で通用する”選手を育てるべき時に来ていると思う。
続投が決まったレーヴの先ずやるべき仕事、それはクローゼの後継者を見出し育てる事だ。
クリンスマン、ビアホフ、そしてクローゼと続いたドイツ代表の絶対的エースFWの歴史は、ここで一端停止しているように思える。マリオ・ゴメスやカカウが、そのレベルに達しているとは言えず、ポドルスキやミュラー、エジルと絡む、もうひとつ別格のトップFWを、早急に生み出す必要がある。これが出来るか出来ないかで、4年後は大きく変わっていることだろう。
試合結果/3位決定戦10日
ウルグアイ2-3ドイツ
今日の試合/決勝11日
◆オランダ-スペイン ~ヨハネスブルク・サッカーシティ27:30
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