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浦和レッズが好きなすべての人々へ捧ぐ…
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まだ来年2月にACL決勝が残っているものの、今年の試合は先日のフランクフルト戦をもって最後の為、これで今シーズンを締めての、総括で気分を一新してから、ワールドカップモードに移行する事にしよう。

フロントが3年前に大胆に掲げた、3年でリーグ優勝を目指すという3年計画の最終年。つまり3シーズン目が今季であった。
その結果は、周知の通り。リーグ優勝どころか、その優勝争い、いや上位争いにすら絡む事なく、それどころか逆に、シーズン序盤の躓きが尾を引いて、一時は残留争いの可能性すら見え隠れしながらのチーム運営に迫られるという、目標に対して内容と結果が著しく乖離する、何ともお粗末なシーズンになってしまった。

何故このようになってしまったのかを考える前に、そもそもフロントと強化部とチーム各々が、果たして目標のリーグ優勝を、一体何処まで本気で突き詰めていたのかを先ず考えよう。

言うは易く行うは難し、とのことわざ通り、口で言うほど目標の達成が簡単ではない事は、恐らく日頃から多くの人が理解しているだろうが、後からそれを言うには、例え結果が伴わなかったとしても、では目標に対して、何処まで、目標に見合った内容、矛盾を生じさせずに、物事を進められていたかという、この中身を分析する事は、反省材料を見付けて次に活かす為に、ひじょうに大切である。

クラブは、今シーズンを迎えるに先立ち、例年に比べて多くの選手を放出している。しかもこれまでのクラブの性質から考えたら、簡単には放出しないであろう功労選手の戦力外や、1年前に獲得した選手数人を。僅かその1年限りで手放す荒事業も慣行した。
ここから読み解く部分として、高年棒選手の放出割合が高い点。放出対象は稼働率が比較的高かったベテラン選手も多く含まれている。これから察するに、コロナ禍による財政面での苦しい台所事情があったのは間違いない。資金的に余裕があれば契約更新が可能であった選手も、コロナ赤字が影響している最中では、来季に絶対的な主力として見込まれる以外の高年俸選手は、とても抱えきれる余裕は無かったと思われる。その証拠として、ベテラン選手であれ高年俸選手であれスタメン率上位順に残され、それ以外のベテラン選手と高年俸選手は全て放出されている。
ところがこれは、1年通して監督の戦術を培い植え付けた選手の多くを、一気に失うという事も意味する。戦術の血の極端な薄まりである。

つまりここで疑問と矛盾が生じる。何年もの年を跨いだ計画を達成するには、チームを知り監督の戦術に慣れた選手を出来るだけ長く継続して保有するのは、当然の手段である。ところがクラブはその定石に反して、多くの選手を放出した。
これで戦術理解に関してはリセット率が高くなり、大量とも言える新加入選手に、1から戦術を植え付ける必要性が発生した。
時間の要するこの作業を大量の新加入選手に施しながら、しかし残された1年でリーグ優勝を目指すのである。先ずここからして、そのハードルが高くなった。

しかしその穴を埋める為に、戦術理解度が早いと思われる選手や、監督の戦術の性質に合っていると思われる選手を獲得した。
しかもコロナ赤字に影響されないよう、前年に比べたら明らかに年俸の安い選手も多く獲得しコストダウンさせ、このコストを抑えながら、若返りも狙い、浮いたコストで高年棒の主力を残しながら、状況に応じて新外国人数人を獲得して行くという、自転車操業のような選手編成と補強方法を行った感がある。

この編成を見た場合、決して戦力ダウンではなかった。ただ新外国人選手は別としても、現有戦力を著しく脅かすような日本人選手を多く補強した訳でもない。つまり戦力アップに成功したとも言い難い。
しかし、監督自身も補強に深く関わっていた以上、チームも前年のJ2からの補強の成功例に則っての、引き続き変わらぬ補強目線で、期待と満足感を抱いていた節がある。
しかも予期せぬ事に興梠が自らの希望でレンタル移籍した。これで真の意味でのFWはユンカーと木原のみ。ユンカーは爆弾を抱え、木原はあくまで高卒新人。つまり完全に計算可能なFWが皆無な状態で開幕を迎えるという異常事態。不安要素を抱えたままのスタートになった。

新外国人来日の遅れや、開幕直前のクラスター発生は不利な要素を生んだが、しかしそれはコロナ禍故の、他クラブチームでも発生し、また発生しうる状況であり、去年の総括でも書いた通り、コロナ禍が原因による悪条件に関しては、全てのクラブチームが負っているリスクとして、同等に考えて扱わなければならない。つまりこの部分だけは言い訳にはならない。
強いて言えば、外国人を含めた主力選手が数人を除けば怪我やコンディション不良の繰り返しで、シーズン通して本当の意味でのベストメンバーが組めなかった不運はあった。
だがその原因が何処にあったのか。何故に多くの選手が次々に離脱を繰り返す羽目になったのか。果たして補強選手に関する事前の調査に不備は無かったのか。そもそもメディカル体制は機能していたのか。ここは大いに疑問と不振を抱く部分である。

リカルドの求める部分も何処にあったのか。就任1年目はポジショナルサッカーを基礎としながらも、豊富な運動量から高い位置でのハイプレスとショートカウンターを多用して成功した部分があった。
ところが、2年目の今季は異常なまでにボール保持率を求める要素が高くなり、これでポゼッション率や得点期待値は飛躍的に上がった代わりに、内容に柔軟性や速さが激減して、相手の急所を突けなくなり、決定機は多いのに決定力は低いという矛盾する内容に陥った。故に煮え切れず勝ちきれない試合が増えた。
リカルドは1年目に「もっとボールを保ちたい」と公言していたところから、2年目からそれを有言実行で実践した形とも言えるが、その狙いが攻撃力はともかくとして、勝つ為に一番肝心の得点力の質の低下を招いた形である。

これら全てを踏まえた上で、では今季開幕前にフロントと強化部とチームが、3年計画の最終年に目標を達成する為に、果たして人事を尽くす事が出来たのか?と問われれば、疑問や矛盾を生じさせながらの準備をしていた以上は「否」と見るしかない。つまり穴は幾らでもあったが、その穴を埋めるには、不十分さは大いにあった。

それでも、前年の成功に近い成績や、強化部の目に見えた組織化と成長がある以上、それが隠れ蓑になり、確実に不安は存在していたものの、明確な危惧要素に繋がらなかったところに、大きな罠があった。
しかも開幕直前に行われたスーパーカップで、リーグ戦前年王者に完璧に近い形で勝利を収めた事が、逆に期待値という形の拍車を掛けて、不安要素を薄めてしまった。勝利が悪い隠れ蓑にもなる皮肉な形だが、今から思えば、このスーパーカップが今季のピークだったのかもしれない。

決して極端な悪条件でシーズンをスタートさせた訳ではないが、かと言って確実性がある体勢でスタートした訳でもない。つまりボンヤリとした不安は確実に、常に存在していた。
この中途半端な状況が、多くの試合で勝てず勝ちきれずを生んでしまったのではないだろうか。そして内容も数字も結果も、全てが中途半端に終始した。
疑問、矛盾、ボンヤリとした不安、全てが中途半端だった。もうこの要素に尽きるだろう。

そもそも2年前から振り替えれば、継続性を重んじていたのならば、3年計画の1シーズン目がどんな内容と結果に終わろうと監督を交代させていなかった訳だし、2シーズン目で選手の契約面がどうなっていようと、ここまで選手の膨大な入れ換えなど行わなかった筈である。
この流れから見るに、3年計画の3年間そのものが、疑問と矛盾を積み重ねて来た計画だったように思える。

そしてクラブは、失敗に終わった3年計画の最後の最後で、またも大きな疑問と矛盾を発生させた。
リカルドの契約満了。続投せず。2年間の継続体制は、ここで失われる。
継続性とは何なのか。過去の行き当たりばったりの運営を反省材料に、他のクラブをもお手本にしながら、今度こそ絶対にブレないクラブとチームのコンセプト構築を目標に、運営して実行しようと努力をして来た3年間は一体何だったのか。3年計画とは一体何だったのだろうか。
クラブは、3年計画そのものは表面的には一区切りとしながらも、内面的には引き続きコンセプトを継続して行く様子はある。だがそこは何もかもが未完成で道半ば故に、模索して行かなければいけない部分が多く残されている。根拠を伴った動き方が可能になるまでには、まだまだ時間が掛かるだろう。
3年計画では足りなかった部分を、引き続き手を緩めず埋めて行くしかないのだが、その猶予を改めて何処に設定するのか。それを見るには、新たに就任した監督による新体制下での、次の段階を待つしかないのだが・・・。

但しひとつだけ。今季の成果として、レッズがACLの決勝にまで進出しているという成績の事実は、素直に評価しなくてはならない。上記で指摘した矛盾さをも露呈したシーズンを象徴するかのように、国内での戦いは不振を極めながら、アジアでは決勝進出という、これこそ矛盾そのものの成績ではあるが、同じ例は過去レッズで何度も起きている現象であり、それだけ国内とアジアでは性質が違うと考えれば良い。
コロナ禍による各参加国の制限からレベルの低下や、レギュレーションそのもが疑問視されるなど、様々な指摘を受けている大会ではあるが、それでも厳しい環境で東アジアの戦いを勝ち抜いて、4度目の決勝進出を成し遂げたのは、レッズである。それは動かざる事実であり、そこは余計な卑下をせずに、胸を張って優勝を目指して行けば良いだけと考える。
しかも今回の決勝進出は、昨年末に天皇杯を征して、3年計画の2シーズン目の目標通りに得たACLの出場権を、見事に生かしたものである。つまりこの部分だけは3年計画内の成果として、今も繋がって生きているのである。
ただ願わくば、それを成し遂げた監督の下で決勝を戦いたかったが、もはやその希望は叶わぬまま、クラブとチームは、新たな戦いに向けた準備に再スタートを、きる。


という事で、今シーズンもお疲れ様でした。
この時期でのシーズン終了は異例なだけに、ここから長い空白期間が生まれますが、それだけに鋭気を養うにはじゅうぶん過ぎる時間も取れるという事で、それを踏まえながらワールドカップを楽しみつつ、例年の如くストーブリーグに一喜一憂しながら、先ずは2月のACL決勝に向けて、しっかり準備をして行きましょう。
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無題
お疲れさまです。
今シーズンもお疲れさまでした。継続路線上で成長を維持する必要がありながら、確かに選手を入れかえすぎた矛盾がありましたね。J2からの補強も、まさに補充という感じでした。またショレ選手以外の外国人選手の離脱が多すぎだったと思います。
あと江坂選手の不調が響いたかなと。司令塔が機能しないと、攻撃はうまく行きません。
リカさんはよくやってくれたと思います。私は、3年目が見たかったです。acl決勝進出は、私も素直に評価してあげたいです。そうじゃなきゃ、あの死闘が報われませんから。そしてリカさんの名誉のためにも、絶対にacl優勝したいです。
マウファン 2022/11/18(Fri)15:50:34 編集
コメントありがとうございます
マウファンさん
こんにちはです。
今シーズンもお疲れ様でした。数の割に中途半端な補強や、外国人選手を始めとした怪我人の多さは、やはり響きましたね。
あとご指摘通り、江坂が極端な不調に陥ったのは、かなりの計算外でしたね。去年加入直後から今年スーパーカップにかけての大活躍っぷりを考えたら、まさかあそこまで機能しなくなるとは、思いもよらなかったです。
一方でACL決勝進出は、間違いなくリカルドが残してくれた大きな成果ですから、リカルドの為にも絶対に優勝したいですね。2月が待ち遠しいです。
うえ URL 2022/11/18(Fri)16:25:32 編集
無題
今晩は 今シーズンもサポートお疲れ様でした
やはり今季の選手入替、補強共コロナ禍あったとは言え戦力アップには程遠かったということですか…
リーグ優勝の高いハードル、他サポの友人から身の程知らな過ぎ、と呆れられましたが富士スーパーカップでの川崎戦見せられたら期待せずにはいられませんでしたしリカルドの迷走など予想も出来ませんでした。
仰る通り強化部の名ばかりの成長に勘違いさせられてましたかねぇ。ホント全て中途半端の終焉。まぁそれでもACLファイナル、リカルドいませんがこのタイトル獲って来季巻き返しの足掛かりにして欲しい!
自分もこの後のワールドカップとストーブリーグで一喜一憂、楽しみます。
欅通りのサポ 2022/11/20(Sun)21:26:33 編集
コメントありがとうございます
欅通りのサポさん
おはようございます。
今シーズンもお疲れ様でした。リーグ開幕前のスーパーカップの優勝から得た期待値から一転、コロナのクラスターなどアクシデントがあったとはいえ、まさかシーズン通してここまで躓くとは思いませんでしたが、よくよく中身を見れば、確かにハードル自体が高かったですし、3年計画の最終目標を達成するに必要な条件に対して、決して人事を尽くしたとは言えず、やはり様々な面で中途半端な部分が多過ぎましたね。
フロントと強化部もそれなりに日々成長はしているとは思いますが、その足元はまだまだ脆く、磐石の体制になるには、かなり先が遠いように思えます。
ACLで決勝まで行けている事が唯一の救いですから、チームはリカルドが去り、スコルジャでの新体制にはなりますが、先ずはACLでの優勝からリーグ戦での巻き返しを目指しての再スタートですね。
さていよいよワールドカップがスタートしましたが、これを楽しみつつ、来季に向けたレッズの新たな体制作りに日々注目しつつ、期待して行きたいです。
うえ URL 2022/11/21(Mon)04:59:22 編集
無題
こんばんは。
今更ながら今シーズンの浦和レッズの総括記事を書きあげました。
富士フィルム杯で完勝し、今季は大いに期待を持たせましたが、終わってみれば昨年を下回る成績。
内容にしてもシーズン終盤は、レッズ対策としてハイプレスを仕掛けるチームが増え、大量失点の試合も増えてしまいました。
このサッカーでは監督交代も仕方ないのかなと最終節の試合を観て思いました。
来季は新監督で臨むシーズンですが、目立った補強は、ここまでなし。
ちょっと不安ですね。

そういう訳で来季も宜しくお願い致します。

FREE TIME URL 2022/12/29(Thu)20:55:48 編集
コメントありがとうございます
FREE TIMEさん
おはようございます。
改めまして今シーズンもお疲れ様でした。前季の天皇杯優勝によるタイトル&ACL出場権獲得という大歓喜の終わり方と、今季のスーパーカップ優勝という幸先良いスタートがあり、これで当然期待満々の筈でしたが、そこから開幕直前のクラスター発生から急転直下、更にシーズン通して主力に怪我人続き、監督の采配も迷走気味、何もかもが中途半端に終始したシーズンでしたね。
体制が日本では未知の新監督で臨む事と、放出と補強の状態が固まらない現状、来季は読めない部分があり、不安先行は仕方ないです。
今は新体制で強いチームになってくれる事を願いつつ、また引き続き来シーズンもよろしくお願い致します。
うえ URL 2022/12/30(Fri)08:04:22 編集
ようこそ!!
試合終了/J1リーグ第4節 平塚4-4浦和 得点/11分・興梠(浦)、23分・ルキアン(湘)、32分・鈴木章(湘)、46分・鈴木章(湘)、55分・松尾(浦)、64分・前田(浦)、74分・ルキアン(湘)、81分・グスタフソン(浦) ・・・次の試合/J1リーグ第5節 浦和-福岡(埼玉スタジアム2002=3月30日15:00キックオフ)


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